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O先生との出会い
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O先生の一言
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「ものは言い方ひとつですよ」の実践
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「ものは言い方ひとつ」とはどういうことか
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「ものは言い方ひとつ」で勇気をもって、相手に働きかける
O先生との出会い
平成4年頃ですから、今から27年前になりますか、私は、某デベロッパーの一員として、東京の目白で土地有効利用に関わっていました。そこで、ビルの建築をすることになり、ビルを設計する設計事務所とは別に、オブザーバーとして、オーナー推薦の設計事務所のO先生ともいっしょに仕事をすることになりました。このときO先生は60才台でした。
O先生は、オーナーの住宅の設計に携わっておられましたが、個人住宅の設計を多く手がけられていて、ある住宅雑誌では先生の設計された住宅がよく取り上げられていました。先生の設計スタンスは、使い勝手がよい、というのが基本線でした。私がはじめて出会った本物の設計者でした。
O先生の一言
ビルの基本プランの打ち合わせが終わって、ウィスキーを飲みながら雑談しているとき、O先生が、ふと「ものは言い方ひとつですよ」と言われたことがありました。ウィスキーは先生ご推薦の安いサントリーホワイトを常温水で割ったものです。
私は、尊敬していた先生が発せられた言葉ですので、心に響くものがありました。
それだけではなく、私はどちらかというとストレートに物を言うほうで人を戸惑わせることがありましたので、この言葉は私の心にグサリと刺すものがありました。
「ものは言い方ひとつですよ」の実践
それからというものは、人との交わりで困ったときに、しばしば、この言葉を想い出して、「ものは言い方ひとつ」を実践させていただいています。
私にとっては、まさに生きた言葉で、ダイヤモンドです。
幾度となく、膠着しそうになった人との関係をスムーズにいかせてくれます。
「ものは言い方ひとつ」とはどういうことか
「ものは言い方ひとつ」で変わる、といいますが、要は、「言葉使いを柔かくする」ことです。そうすると自然に相手を配慮することになります。膠着しそうになった相手との関係がよくなります。落ち着いた気持ちで話すことができます。
「ものは言い方ひとつ」で勇気をもって、相手に働きかける
人との関係で困ったとき、例えば、つい乱暴な言葉を吐いてしまったとき、それを修復するために、言葉をかけることは抵抗が大きいのですが、「ものは言い方ひとつ」だと自分に言いきかせて、勇気を持って相手に働きかけます。
そうすると、自分が思った心配はどこへいったのやら、相手との膠着状態は自然と氷解することもしばしばです。
それこそコペルニクス的展開です。自己中心から相手中心になれば、問題が解決するのです。「ものは言い方ひとつ」で相手中心となり、人間関係修復です。
考えてみますと、「ものは言い方ひとつ」は人間関係で困ったときの修復に限りません。およそ、対人関係で、中心に居座る言葉といってよいのではないか、と思っています。