営業マンの第一の役目はセールスではない
営業マンに与えられた仕事は何かと問われれば、誰しもが商品を売ることだと答えるでしょう。営業マンは、商品知識を駆使し、巧みなセールストークで商品を売る。
たしかに営業マンにとって商品を売ることは不可欠なことですが、果たしてそれにとどまるでしょうか。
答えはノーです。営業マンにとってもっと大切な役割があるはずです。それは、お客様のニーズを吸い上げ、商品に反映させる橋渡しを会社内で行うことです。
営業マンは現場に常時います。これが何といっても強いのです。
お客様が欲しているものに直かに触れることができます。また、お客様が欲しているものが刻々変化する様子も分かります。また、クレームに接すれば改善しなければならないことを知ることができます。
営業マンほど消費者の声を一番近くで聞く立場にいるものはいません。
商品企画力が一番の営業力
洋服でも電機製品でも車でも何でもよいのですが、これらの商品を売るためには何が決め手になるでしょうか。
優秀な営業マンを何百人、何千人とそろえることでしょうか。それとも売れるもの、売れる商品をつくることでしょうか。
優秀な営業マンが大切なことは言うまでもないことですが、それよりも本質的、決定的に重要なのは「売れる商品」をつくることではないでしょうか。
何百人、何千人、いや何万人の営業マンといえども「売れる商品」に太刀打ちはできないといってよいでしょう。
売れる商品をつくる商品企画力こそ、それこそが一番の営業力といってよいと思います。
相当昔の話しになりますが、私の友人がアメリカに長期滞在している頃、車を購入する必要にせまられたことがあったそうです。
その時いろいろディーラーをまわって、日本車、アメリカ車を検討したすえ、某メーカーの日本車に決めたそうですが、決め手になったのは、他車に比べ故障が少ないことだったと言っていました。
友人は、アメリカで車が故障したら、その対応が大変だと考えたのでしょう。多くの営業マンの話しを聞いたそうですが、故障の少ないことが、すなわち商品の品質が決め手になったといっています。故障の少ないことが、すなわち「売れる商品」だったのです。
営業マンは現場にいて商品づくりに参加できる
売れる商品づくりのための消費者のニーズを把握する方法として、アンケートやモニター制度とかいろいろなされています。これらにはこれらの良さがありますが、これに対して営業マンの強みは何といっても現場にいることです。現場から生の声を常時、聞くことができます。
以前、一流の新聞記者といわれた人のことについて書かれた記事を週刊誌か何かで読んだことがあります。そのなかで、「自分は現場に必ず足を運んで記事を書いている。このことは決しておろそかにしていない。」といっていることが紹介されていました。「現場に足を運ぶ」ということが、大変強く印象に残っています。
乱暴な言い方が許されれば、商品を売るのには、売れる商品をつくること、商品企画力が一番。そのためには消費者のニーズを吸い上げる必要がありますが、これの役目を果す一番手は現場にいる営業マンである、ということではないかと思っています。