「君たちはどう生きるか」は、2017年8月発売後、漫画版と原作の新装版が大ベストセラーとなり、200万部を突破しています。そこでは15才になるコペル君のへんな経験や友人達との交流をとおして、コペル君の心の成長が描かれています。
「まあいいか」といって人の混んでいるところに入るのは自己中心的です。
「他人に移さない」という強い意志をもって人の集まるところを避けるのは、他人を思いやる心です。
「君たちはどう生きるか」の冒頭に出てくる「へんな経験-ものの見方について」の中で次のことが書かれています。
コペル君はおじさんと銀座のデパートの屋上から、雨粒くらいの小さな人や車を見て、「人間って分子なのかも」とつぶやきます。遠くにいる人も、近くにいる人も、おじさんも、僕も・・・・・・。
おじさんはノートの中で、地球を中心に太陽などの天体が回るという天動説に対し、コペルニクスによって太陽を中心に地球などの天体が回るという地動説が唱えられたときは大変な騒ぎでした、として天動説のような考え方、すなわち自分を中心にして物事を判断してゆくと物事の本当のことを知ることができなくなる、と説きます。
そしてコペル君は、自己中心的でなく、自分を離れて判断することが大切なことを学びます。
現在、新型コロナウイルス感染は、中国、韓国、イタリア、スペイン、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ等々、世界中にまん延しています。
日本でも、日々増加の一途をたどり、感染の爆発的増加(オーバーシュート)の一歩手前で、この段階でも医療崩壊が起こる可能性もあるといわれています。
感染の拡大は、煎じ詰めれば人と人の接触によるといえそうです。人と人の接触を避けることができれば、感染の拡大はおさまりますが、そうすれば経済活動はストップしてしまいます。その折り合いが難しいのですが、政府の専門家会議では「3密」の回避の呼びかけを行っています。
すなわち
換気の悪い「密」閉空間
多数が集まる「密」集場所
間近で会話や発声をする「密」接場面
何とかオーバーシュートは避けたいということでしょうが、全く予断はできません。今の時点で、当面、私達個人で出来ることは、「3密」の回避と手洗い、マスクの着用ですが、これが思うようには実践されていません。
これを実践するのには、自分本位の考えではうまくいきません。
若い人や元気な人は、自分は感染することはないだろう、たとえ感染しても重篤となったり、死亡することはまずないだろう。多少のリスクはあるが、人の集まるところに入っても、「まあいいか」となってしまう。3密の回避も身勝手に自分に都合のよい方向に解釈しがちになります。手洗いもマスク着用も同じことがいえます。
脇が甘いのです。
しかし、コペルニクス的展開で!
私達は今感染していなくても、明日感染しているかもしれません。潜伏期間は1~14日(平均5.8日)といわれていますが、少なくともその間は自分が感染しても気づきません。症状がでない人や軽症の人では、検査をしない限り、長期にわたって気づきません。
私達は自分で気づかないうちに他人に感染させているかもしれません!
コペルニクス的展開で、他人を思いやり、他人に感染させないことを決心する。
自分のことだとどうしても甘くなってしまいますが、家族はもちろんですが、友人も、ひいては自分の知らない人でも決して感染させないと決心すると、不思議なことに、強い意志が出てきます。この意志は人間として高いレベルにあるからでしょう。
コペル君なら他人に感染させないぞと決心することでしょう。
すさまじい猛威を振るう新型コロナウイルス感染のニュースが毎日続いています。
自戒をこめて、私自身のコロナウイルス感染に対する心がまえを書いておきました。
参照:当ブログ